RIZAP社長、4~6月「黒字化難しい」、株主優待継続かどうかを予測する
RIZAPグループの瀬戸健社長は24日、日本経済新聞の取材に応じ、「4~6月期は黒字化は難しい」との見通しを示した。同社は2020年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が60億円の赤字(前の期は194億円の赤字)だったが、「21年3月期に最終損益の黒字転換を目指す」と話した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60743770U0A620C2DTA000/
日経新聞のウエブサイトでRIZAP瀬戸社長のインタビュー記事が出ておりました。休業要請の対象となっていたことから、4~6月期はかなり厳しいと想像されましたがやはり黒字化は難しいようです。

「4~6月期の落ち込みを下期にかけて取り戻していく」
瀬戸社長によると、下期に回復させる予定でいるようですが、「新規会員数が減少」は将来的な売上減少を意味するものでもあります。

コスト削減と新サービスの構築
コロナ禍で在宅勤務の普及が大きな流れになっている中、RIZAPも同様に在宅勤務推進により、不要になったオフィスの大幅削減を図るつもりのようです。面積半減というかなり大胆な取り組みです。そのぐらい危機感を持っているとも言えるでしょう。

株主優待制度は継続する方針
2期連続赤字ということもあり、株主優待制度の継続を訝しむ声があります。しかしながら瀬戸社長は優待制度を継続する方針を示しております。
瀬戸社長は株価低迷について「結果を出していくしかない」と話した。株主優待制度は継続する方針
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60743770U0A620C2DTA000/
では、その優待制度が今期以降も継続されるかどうかを、数字の面から少し考えてみたいと思います。

株主優待費用は約6.7億円
RIZAP株の最大の魅力は株主優待制度。利回り10%は軽く越えて100株からでも頂けるかなりお得な制度設計になっております。そのため株主は10万人以上となっており、優待費用は6.7億円と負担は少なくありません。

では、この6.7億円という数字は妥当なものなのでしょうか。金額としては大きいものですが、RIZAP社の発行済み株式数は約5億5621万株とかなり多く、一株当たりの費用を計算すると、6.7億円/5.56億株=1株につき1.2円ほどの費用が発生しております。

1株1.2円の優待費用は妥当か?
スズデンという会社があります。かつて優待制度があった上場会社ですが、ここは予め優待費用が膨らまないように発行済み株式総数×1円を上回った場合、優待制度を取りやめるという旨の警告を出しておりました。

こちらのIRリリースの通り、スズデンはこの警告を律儀に守り、1株1円を上回った時点で優待制度を廃止致しました。
この事例を見ると、RIZAPは1.2円ほど掛かっている状況なので、優待制度の継続が危ぶまれる事態と言えそうですが、私は今後も継続されるのではないかと見ています。それはなぜかと言えば、3月19日に出された「株主優待の継続実施に関するお知らせ」の中にヒントがあると見ています。

商品ごとの設定ポイントを若干引き上げせていただきます

そのIRでは「消費増税及び物流費高騰の観点から、商品ごとの設定ポイントを若干引き上げせていただきます」との記載があり、若干の改悪を提示しています。
会社側から見れば優待費用の削減です。ただ、この改定により優待費用が1株1円以内に収まるようであれば、優待は継続されるのではないかと思います。
つまり、商品ごとにばらつきはあるでしょうが、交換ポイント比率を全体として1~2割引き上げる(優待費用の削減)ことになれば、1株1円以内に収まり、優待制度は継続される……、そんな未来を予想しております。

優待制度はRIZAP株の生命線
上場以来、RIZAPは優待制度を継続しております。リーマンショック後の業績低迷期であっても優待制度を続けていたので、今後も瀬戸社長がCEOの座に留まり続ける限り、継続されると見ています。
逆に廃止でもされれば、優待目的の株主から投げ売りを喰らうでしょう。そうなると株価は暴落、信用不安説が出かねない状況も覚悟する必要があります。
ただでさえ、以下のような状況です。下手なことは出来ないと思います。
2期連続の最終赤字を受けて、金銭消費貸借契約上の財務制限条項に抵触した。瀬戸社長は今後の資金調達について「今すぐにという話ではないが、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫といった政府系の金融機関からの借り入れを中心に検討していく」と話した
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60743770U0A620C2DTA000/

瀬戸社長の逆境力に賭ける……
いずれにしろ、赤字のままではどうにもなりません。RIZAPにはMRKやイデア、ワンダーコーポレーション、SDエンターテイメント、ジーンズメイトなど利益を出す子会社群もあり、RIZAPそのもののボディメイク事業もまだまだ魅力的なものがあります。
かつて豆乳クッキーダイエットで一世を風靡した後の低迷期に、「どろあわわ」「美顔器」などのヒット商品を出して乗り切り、リーマンショック後の低迷期には「RIZAP」を生み出し、一発逆転を果たしました。
現在のコロナ禍は過去に匹敵するほどの逆風です。が、瀬戸社長のことです、何か考えているはずです。



このように種は色々蒔いているようです。なので今後の展開、逆襲に期待したいです。
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