バロックジャパンリミテッド、2021年2月期3-5月期は営業黒字達成
- 株価649円
- 100株から株主優待有り、年間4000円分。優待利回りは6%台と高利回り。
- 昨年の配当も38円と高配当銘柄
コロナ禍の影響を大きく受けた業種として衣料品業界が挙げられます。その衣料品業界はユーザーと株主が近い為か、数多くの上場会社があり株主優待制度を設けている企業も多くあります。
バロックジャパンも同様に、高い利回りの株主優待制度を持ち、配当利回りもかなり高めの銘柄でした。ただ、このコロナ禍によって国内事業はもちろん、卸売りを中心とした中国事業の先行きも大変懸念されていました。
しかしながら、蓋を開けてみると第一四半期の営業利益は何と黒字。売上が半減したという危機的な状況であっても、赤字を回避できた理由を今回調べてみたいと思います。
売上半減もあらゆるコストの削減で赤字回避
まず目立ったのが、販売管理費や広告費の削減がかなり強めだったことです。家賃や販売委託手数料などはほぼ半減の勢いで、給与の削減幅もかなり大きめとなっています。売上が半減したことに伴ってのことでしょうが、他社ではあまり見られない程のドラスティックなコスト削減がこの四半期で行われた結果、営業赤字を回避したと言えます。

販管費をほぼ半減させ、赤字回避
ただ、こうした危機モードは長く続けられる訳では無く、できるだけ早期に正常化させる必要があります。なぜなら、衣料品販売はかなりの部分、お店のスタッフの優劣に影響されることが多いためです。給与が大幅に削減された中で、勤労意欲は沸かないでしょう。

コロナ禍の影響と外出自粛宣言解除後の急速な回復
そんな中で、外出自粛が解除された後の店舗売り上げの状況ですが、会社側は「急速に回復傾向」であるとしています。さらには通販販売も好調であり、実店舗での販売だけではなくECの強化によって新たな顧客層の拡大にも繋がるでしょう。

一方で商品在庫は45%増加し、将来の減損リスク
しかしながら、懸念もあります。店舗休業によって商品在庫が滞留し、前期比45%も増加する事態になっています。これは、将来の在庫処分による特別損失リスクとなります。衣料品の鮮度は短いものなので、数ヶ月置けばそれだけ陳腐化が進みます。春物は夏には売れませんし、翌年の春に売るのも、その年によって流行が異なることが多いのでかなり難しいと思われます。
結局の所、厳しい見方をすれば「商品在庫を在庫のまま放置することで、第一四半期を黒字で乗り切った」とも指摘することができます。今後、この指摘が当たっていないことを、商品在庫がどの程度減少していくかで継続的にチェックしていく必要があります。

中国事業は卸売販売が踏ん張る
一番の懸念だったのが、中国での卸売りと小売りです。コロナの震源地で商売をしていれば、日本国内よりダメージが大きいのでは無いか……。そう心配をしていたのですが、決算を見ると意外にも中国での卸売りがマイナス20%程度で踏みとどまり、結果として部門利益を稼いでいたことが分かり、かなりの驚きでした。「小売り会社の仕入れ効率化」とありますが、この一文だけでは正直よく分かりません。今後、開示されるであろうIR資料などからさらに調べていきたいと思います。

株主優待制度は現行のまま、維持
現状では株主優待制度について、何も触れられていないので現行のまま維持されるものと思われます。株価の下落で、100株保有した場合だけを見ると大盤振る舞いと取られそうですが、200株以上の複数単元を保有した場合は、利回りがかなり低下するので、その点では株主還元の公平性など、よく株主優待が廃止される際に使われるお題目には引っ掛からないと思われます。
大きな問題になりそうなのが、配当金です。現状、配当性向の記載しかなされていないので、今期赤字だった場合は、大幅な減配や無配転落も覚悟する必要があるでしょう。
そもそも、赤字であれば利益配分を云々する前の話ですから、この書き方は無配も有り得ることを示唆しているものと思われます。

株価は一端反応するも、値を戻す
決算発表後、株価は一時高騰する場面もありましたが、今は値を戻しています。やはり在庫急増や無配リスクをまだ完全には織り込めていないと言えるでしょうし、今後のコロナ感染状況によっては再び休業要請が出されるリスクもあり、投資家としてはなかなか買い進みにくい局面でもあると言えます。
しかしながら、コスト削減にかなりの力を入れていることからも、経営陣のマネジメント力には期待できるものがあり、長期的には応援していきたい銘柄の一つでは無いかと思います。
含み損の200株からさらに買い増したくなった、今回のバロックジャパンリミテッドの決算でした。
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